前回のエントリーは贈賞式の文句だけで終わってしまった・・・。
今度こそグランプリと気になったコピーの感想を。
【グランプリ】
現金なんて、お金の無駄づかいだ。
受賞者:林 次郎さん
クレディセゾン
生活の100%をカード払いにしたくなった!と思わせるような広告アイデア
「現金ではなくカードを使わせる」って課題は、今までイヤってほどやりつくされてきた。ストレート・カーブ・シュート・フォーク・シンカー・ナックル・チェンジアップ・etc・・・。ありとあらゆる球種で、ありとあらゆるコースが試されてきた。もう誰も見たことないような変化をする新魔球でも発見しない限り勝ち目はない・・・そう思ってたし思い込んでた。このコピーを目にするまでは。
なんの変哲もない言葉でこれといった変化もない。でも『そういえばそうだよね』をピンポイントでぶち抜くど真ん中のどストレートの豪速球。まだこんな表現が残されていたなんて・・・。有無を言わさぬ圧倒的な説得力。シンプルに強い!強すぎる!!100%カード払いにしたくなるって課題に、まさに100%こたえてる。納得のグランプリ。
【コピーゴールド】
「5人に1人。」
抽選なら当たる気がする。
受賞者:柳井 芳文さん
骨粗鬆症財団
骨粗鬆症が自分や身近な人に関わることだと考えてもらえるような広告アイデア
人は基本的に自分にとって都合の悪いことは受け入れない。例えば交通事故とか火事とか地震とか泥棒とか病気とか、マイナスな未来に対しては何の根拠もないのに「自分だけは大丈夫」って変な自信をもってる。
逆に都合のいいいことは信じたくなる。占いだっていいことしか信じないし、通販番組の大げさな演出を間に受けて買っちゃうし、明らかにあやしい儲け話なのに詐欺にひっかかる人があとを絶たない。
だからただ単に『骨粗鬆症は「5人に1人」かかります』って言っても全然響かない。でもそこにあえて逆のポジティブな要素を付け加えることで、他人事を自分事として考えさせることに成功してる。人間の心理を利用した巧みなコピー。
【CMゴールド】
子ども:なんで、うちはCSPなの?
父:業界3位だぞ。
子ども:1位がいいよ。
父:1位は、200万件も守っているんだぞ。同時に襲われたら、守ってくれそうにないだろ。
NA:業界3位。セントラル警備保障。
受賞者:石原 佳典さん
セントラル警備保障
CSPセントラル警備保障の全国での認知度を向上させるためのアイデア
これ大好き。ホント好き。少し前に自虐系コピーが流行ったけど、これもそのカテゴリー。お父さんの謎理論の謎の説得力。絶対ありえないんだけど、想像したら確かに3位の方がいいかも?と思わされてしまった。さりげなく1位のセコムをディスってる?とこも上手い。
【眞木 準 賞】
ねぇ、鈴木くんくん。
牛乳石鹸共進社
「カウブランド赤箱」をフラッグシップブランドとして持つ牛乳石鹸共進社株式会社の企業キャッチフレーズ
コピーは本当に素晴らしい。こんなに短いのにとってもにチャーミング。絵が浮かぶからテレビCMとかもありかも?こんな発想自分じゃ絶対出せっこないし、誰もが簡単に思いつけるわけがない。まさしく眞木準賞にふさわしいコピー。
コピーはね・・・
【シルバー】
お客さま、このままだと、
いいお客さんですよ。
受賞者:野田 正信さん
セゾン自動車火災保険
"なんとなく"で自動車保険を選んでいる人たちに、「おとなの自動車保険に加入したい!」と思わせる、キャッチフレーズ
中継を見てて思わず「うまいなぁ」とうなった作品。皮肉がきいてて、それこそおとな向けのオシャレなコピー。このセンスがうらやましい・・・。
【シルバー】
AIから仕事を奪ってください。
受賞者:眞木 雄一さん
ヤフー
Yahoo! JAPANに入社したくなるようなコピーを募集
グランプリ候補だと思った作品。広告コピーは時代を映すって言うけどまさにそれ。近い将来AIにとってかわられてなくなる仕事が出てくるって話題になってる。そのAI事業をけん引しているであろうYahoo! JAPANに、あえてこれを言わせることでインパクトがさらに増してくる。ゼクシィが「結婚しなくても幸せになれる・・・」っていうコピーを出したのを彷彿させる。
【シルバー】
おじいさんは山へクライミングに、
おばあさんは川へラフティングに行きました。
受賞者:三上佳祐さん
サントリー
デカビタCを飲みたくなるようなキャッチフレーズ、ラジオCM
こういう振り切った遊びごころあるコピーが書ける発想力が本当にうらやましい。自分がいかにせまい枠にとらわれて小さくまとまっているか思い知らされる。50本出せるならこれくらいバカバカしい(いい意味で)のも出せないとダメだよなぁ。テレビCMでもいけそうよね。フリスクっぽくなりそうだけど。
【ファイナリスト】
名古屋まで2駅
大阪まで3駅
受賞者:桐原有輝さん
品川区
魅力いっぱいなのに伝えきれていない品川区を強烈にアピールするアイデア
はじめて見た瞬間、このアプローチは凄い!!と素直に思った。絶対何らかの賞に絡むと思ったから、ツイッターで思わず「大好き」とつぶやいた。よくよく考えると品川区というより品川駅のコピーだし、品川駅は港区だし・・・といろいろ粗いところが見えてきた。しかも作ったご本人から「大阪までは4駅でしたw」ってリプライがきた。それだけの欠点がありながらファイナリストまで残ったのは、切り口のアイデアにそれだけインパクトがあったってことだよね。
それにしても、ファイナリストのコピーと受賞者を確認するのに、いちいち中継動画をひっぱりだして探さなきゃならないなんてどう考えてもおかしい。コメントにもあったけど、みんなブロンズ賞にしてちゃんと公式ページに掲載してあげてほしい。
他にも気になるコピーや好きなコピーはあるけどこのくらいで。今年のファイナリストはレベルが高くて面白かった。そんなファイナリストに複数残る人もいるんだもんなぁ。とても追いつける気がしない・・・。
それでもそれでも何としてもたどり着いてやる!!