去る3月1日、『第60回宣伝会議賞』ファイナリスト・協賛企業賞・二次三次通過者が発表されました。Amazonで予約したのに待ちきれなくて、結局デジタル版も買ってしまった・・・
今回も前回に引き続き、いやそれ以上のとんでもないコピグラ旋風が吹き荒れました。ページめくるたびに知ってる人が出てくる出てくる。スーパーサイヤ人のバーゲンセールですわ。元々宣伝会議賞の常連が集まってるってこともあるけど、今回はコピグラがきっかけコピーを始めた人もいるし。語彙力なくて申し訳ないけど、すごい以外の言葉が出てこない。
そしてその中に自分はいない・・・。完全に蚊帳の外。蚊取り線香たかれて、虫コナーズをぶら下げられて、苦手な周波数の超音波まで出されてすっかり置いてきぼり。半分ネタとはいえあれだけ豪語しておいて、結果は二次通過ゼロというていたらく。受賞はできなくてもせめて三次にひとつでも残ってれば擁護のしようもあるけど、二次すら残れないとかもう〇んだ方がいい。悔しいというよりあまりにも情けない。ちょっと今後のことを考えなきゃならないかな・・・
その辺はひとまず置いといて。
これも毎年のことだけど、ファイナリスト・協賛企業賞は震えるくらいレベル高い。特にファイナリストは「刺さる」って言葉がぴったりで、黒ひげ危機一髪状態。圧倒的な差を見せつけられて、ちょっと泣きそうになった。勝てるわけないじゃん。で、おそらくというか確実に知ってる人がいるわけで・・・。
とりあえずいつものように気になった協賛企業賞の受賞作をいくつかピックアップ。なんせ知ってる人が多いので、知ってる・知ってる・知らん・知ってる くらいのバランスになる危険性はかなり高めだけど許してよぉ♪
【アサヒグループ食品】 密山 直也 さん
おいしいの数だけ、人生はたのしい。
いきなり我らがローラーさんの登場。「でしょうね」という感想しかない。もういるのが当たり前みたいになってるからあんまり驚かない。むしろ受賞してなきゃおかしい。そう思わせちゃうのはもっとおかしいんだけどw
で、今回のコピーは王道ど真ん中。「おいしい」と「たのしい」を絡めるのは定番中の定番で、誰もが一度くらいは見たことあるだろうし、何なら使ったこともあるはず。
そのヘタしたらベタになりそうなところに「数」と「人生」というワードを組み合わせることで、商品の豊富さや多様性、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く使えることを見事に表現しる。「お客様に提供する価値」をひとことでって、めちゃくちゃ難しい課題にきっちり応えてる。
今回は王道系が選ばれたけど、ローラーさんが凄いのは王道から下ネタまでありとあらゆるテイストのコピーが書けるってこと。ストレートもカーブもフォークもスライダーもスプリットもチェンジアップも、そのすべてがキレッキレでどっからでもストライクがとれる。まさにコピー界のダルビッシュや。もしかしたら7人の人格がある可能性も微レ存。一次で並んでるもう一人の密山さんは、実はお父さんではなく7人の人格のひとつなのかも。
これだけ凄いのに受賞コメントはコピグラ民への感謝とか・・・カッコいいにも程がある。完全にカリスマですわ。
【イー・スピリット】 田島 由紀子 さん
#PRってついてるけど、買っちゃった。
「#PR」ってのをコピーに入れちゃうって、まさに「目の付けどころが#(シャープ)でしょ。」って感じ。で、誰もが感じてる広告のうっとうしさと胡散臭さ。そのマイナスイメージを逆手にとって、プラスに変換してるのがさらに凄い。「買っちゃった」って言い回しもおちゃめで親近感と共感性が高い。広報のお仕事をされていた方なので、実体験が活かされてるんだろうなぁ。
【サントリー】 村上 実紗子 さん
ムギムギ飲める。
これは書けない。もはや説明不要。いや決して手抜きとかではなくw
【シャノン】 長井 謙 さん
あの手、この手を、ひとつの手で。
課題を見てもHPを見てもよくわからなくて秒速で捨てたシャノン。そんな自分にも「そういうことか」と思わせるわかりやすいコピー。難しいことを誰にでもわかるように説明するって本当に難しい。長井さんはいつも商品やサービスのセールスポイントだけでなく、企業の思いをきっちり汲んだうえでターゲットにちゃんと届く形に変換してる。これぞことばのプロの仕事。
【商工中金】 河原木 渉吾 さん
変わるあなたを、変わらず支える。
コピグラ民の受賞ラッシュ中で、いっっっっちばん驚いた。ページめくってどっかで見た名前だなぁ~なんて思ったけどいったんスルー。その数秒後に「らぎしょうさんじゃん!!」って叫んだもの。初挑戦でいきなり受賞とか、前世でどんだけ徳を積めばそんなんできるのさ・・・
で、コピーがとってもいい。奇をてらわずストレートに核心をついてる。「変わる」って決していい方向だけとは限らないけど、どんな時でも支えいくっていう企業理念が伝わる。まるで今まで普通に使われてきたような佇まい。文字数を揃えてて、口に出したときのリズム感もちゃんと計算されてる。ビギナーズラックって謙遜したくなる気持ちはめちゃくちゃわかるけど、まぎれもなく実力。お見事です!!
【SOMPOケア】 むーむー さん
わたしの「スキル」が、だれかの「できる」を叶える。
みんなとっくに知ってるからあんまり意味ないけど、何となく本名を伏せとくw。前回に続き連続受賞、しかもW受賞とかさ。すっかりレジェンドの仲間入りで女王の風格が漂ってる。
川柳のスキルを活かしたさすがのコピー。言葉遊びで終わらずにきっちり言葉をあやつってる。「スキル」「できる」「叶える」の〇〇るでリズム感もバッチリ。夏井先生も絶賛するはず。実体験に基づいていて、介護する人もされる人にも響く。受賞コメントまで完璧で非の打ちどころがない。
それにしてもあの華奢で小さな身体でフル応募して毎回結果を残すなんて、どこにそんなパワーがあるのか?たぶん影武者というか影むむが何人か存在してるはず。(影むむって言いたかっただけw)
【日本交通安全教育普及協会】 古山 昂典 さん
かぶるキッカケが、事故では遅い。
「はい、正解でました!!」もうこれ以外ないっしょっていう、ごもっともな正論コピー。ファイナリストには結構ブラックなのもあったけど、協賛企業賞はあんまりキツイ恐怖訴求はできないもんね。そんな中でこれぞお手本。しずおかコピー大賞での実績やコピグラでの活躍を知ってるから受賞は時間の問題だと思ってた。これでデザインもできちゃうんだから、もう無敵でしょ。
【日本製鉄】 高山 菜野 さん
こんなに柔軟な、堅物はあるか。
「堅物」なんて言葉を見つけてこれることがもう凄い。意味的には融通がきかなくて頑固ってネガティブの言葉。それが柔軟と対比させることで実直で真面目だけど頭は柔らかいってポジティブな印象になってる。「あるか」って問いかける形が反語になってて、他にはないってこともアピールできてる。
そういえば最近CMでよく見る「サス鉄ナブル」ってコピー出した人絶対いそうだけど、通過してるのかな?
【日本WPA】 長井 謙 さん
このポスター、工程まで美しい。
やっぱり長井さんのコピーはクライアントにもターゲットにもやさしいのよ。課題をみるとついつい「地球が~」とか「環境が~」とか大きなことを言いたくなるけど、それはどこか綺麗ごとで他人事感がある。誰もがよく目にするポスターを主語にすることでグッと身近に感じさせて、環境に配慮したうえでj従来通りかそれ以上にちゃんとキレイに印刷できることもしっかり伝えてる。美しいって言葉を選んでるのが美しい。
【野村不動産】 原田 智光 さん
ひとりで頑張る私も、みんなと頑張る私も、ここにいる。
tontonさんの真骨頂の対句コピー。もはやtonton構文といっても過言ではない。でもただのテクニックだけでなく、真面目な人柄がにじみ出た優しい視点がある。会えない間、ひとりで働いてもひとりじゃない。そして仲間といっしょに仕事できる幸せも感じられる。「ここにいる」って言葉がとっても泣ける。自分の得意な型があるってすごく強い。
【パナソニック】 内野 大介 さん
奥歯も、親の目のとどかない場所でした。
今回の協賛企業賞の中でいちばん好き。「うわぁ~そう来たかぁ」と唸った。子どもを持つ親にはめちゃくちゃ響くと思う。ちゃんと奥まで磨けることも伝わる。歴代グランプリで一番好きな「父親の席は、花嫁から一番遠くにある。」みたいな気付きと納得感がある。個人的にはファイナリストでもいいと思う。
【フィスカース ジャパン】 山下 祐輝 さん
枯れない花を、家に置こう。
ロイコぺユーザーなのをいいことに応募期間中から各方面にマウントをとりまくっていたリモコンさん。大阪人のくせにまさかこんな何のオチない、ちっとも笑えない結果を出すとは。コピーもオシャレで、トンマナもバッチリ。ただのお皿なら100均でもいいじゃんってなるけど、こういわれたら「おっ!」って興味を引くし、歴史と伝統とずっと使い続けられることまで表現できてる。口だけで何の結果も残せなかった俺とは大違い・・・。
応募数は俺と同じくらいなのに、一次通過数はダブルスコアの差をつけられてさらに協賛企業賞まで。不断の努力の差が如実に表れました。いつものイヤミなドヤ顔がめちゃくちゃカッコよく見える。今回は完敗です。ぐぬぬぬぬ・・・。まああくまで今回はであって、協賛企業賞3回よりシルバーと協賛1回ずつ獲ってる俺の方がまだ若干上なのよ。たぶん・・・
【HENNGE】 むーむー さん
代わりのいない、変わり者になれ。
またしても川柳仕込み?のテクニック炸裂!!変なというか特徴的な名前だから、当然社名いじりのコピーも多かったはず。その中で「変わり者になれ」って命令形のインパクトは強いなぁ。むーむーさんも代わりのいない変わり者だし、唯一無二ではなく唯一むーむーの存在。(唯一むーむーって言いたかっただけw)
【ヤマハ】 早坂 貴弘 さん 宮地 克徳さん
定番狂わせ。
これは思いつきたかったや~つ。難しい課題をひとことで、スパッと切れ味抜群。その手があったか!?と。ありそうでなかった絶妙なライン。楽器なのに「狂う」って言葉が入ってるのもインパクトあるしロックっぽくてとてもいい。そして受賞者2人がどちらもコピグラ民だったミラクルもすごい。
他にも好きなのたくさんあるけど、キリがないのでこの辺で。
受賞者の皆さん、本当におめでとうございます!!
何度も言うけどコピグラメンバーの活躍が本当にすごい。特にローラーさんやむーむーさんやリモコンさんのすごさはずっと前からわかっていたつもりでいたけど、その認識がぜんぜん甘かった。才能もセンスもあるのに努力を惜しまない。で、その努力を見せたりしない。それに比べて自分自身のなんと不甲斐ないことか。本来比べることではないし、そもそも比べることすらおこがましいけど・・・
長いこと宣伝会議賞をやってて、たまたま競合が少ないおかげでブログを読んでもらえてて、そんなすごい人たちを仲良くしてもらってて。まぐれで運よくいくつか賞をもらって、ちょっとコピーがうまくなったつもりになってて。大口叩いて結果が出なくてもネタになるし、それでも面白いってチヤホヤしてくれる人がいて、どこかでもう受賞できなくてもいいかなって思ってて。そのくせ大した努力もしてないのに、結果が出せないと一丁前に落ち込んでみたりして。二次すら通過しない俺なんかより、三次に複数あるのにファイナリストに届かなかった人の方が何万倍も悔しいだろうが・・・
ごく一部の天才をのぞいて、才能とかセンスとかにそこまでの差はないはず(と思いたい)。じゃあ何が違うかっていうと、やっぱり努力というか執念というかハングリー精神が足りてない。居心地のいいぬるま湯に浸かってて、すっかりふやけてる。たぶんこのままではこの先も毎年同じことのくり返しにしかならない。1回全部リセットして初心に戻って、一からやり直さないとダメだと思う。
今回のグランプリが決まったら、ブログをいったん休止しようと思います。
てなことを、昨日くらいまでは本気で思ってました。決して「やめないで」って言われたいからとかじゃなくて結構ガチで・・・。もうアホかと。才能もなくて努力もしなくて、そのうえ他の人にはない唯一の武器であるブログもなくなったら、それはもうただのオッサンでしかない。一瞬で忘れ去られて存在意義までなくなっちゃう。
そもそも年に数回更新するかしないかのブログに、休むもクソもあるか!!ふだん全然見かけないタレントの活動休止宣言くらい意味ないだろ。書き始めるまでは何書けばいいのかわかんないしめちゃくちゃ面倒なんだけど、いざ書き出せばまあ何とかなるし好き放題言えるし、読んでくれる人がいるのはとてつもなくうれしいし。
それにコピグラからたくさん受賞者が出るのはものすごく嬉しいんだけど、おかげで一気に敷居が高くなりすぎなのよ。ローラーさんは圧倒的にカリスマだし、むーむーさんは女王様だし、リモコンさんはドヤ顔とマウントしかしないし。決してそんなことはないんだけど、意識高い系のガチ勢ばっかりだと思われてそうだし。俺やだら子さん(道連れw)みたいなダラダラしてる適度なポンコツもいますよと。
負けても楽しそうな人には、ずっと勝てない。ってコピーが大好きなので、才能がなかろうが努力が足りなかろうがケツ穴が小さかろうが、この先何度負けても楽しそうに挑戦するしブログもできる限り書きます。あくまで「楽しそう」ってだけでちゃんと悔しがらないとダメだけどね。今は負け犬だけど、いつか必ずむーむーさんみたいな勝ち犬になるんだ。
贈賞式は3月10日。ファイナリストに誰が登場するのか?どの作品がグランプリに選ばれるのか?めちゃくちゃ楽しみです!!悔し泣きできるほど本気でやれなかったから、代わりにうれし泣きができたらいいな。そして、めいっぱいお祝いして、それ以上にめいっぱい悔しがろう。
ちなみに俺の圧倒的ダントツのイチオシは・・・
大型トラックで行ける銀行ってありますか?
セブン銀行
これはまぎれもなく、天才の仕業ですわ。