宣伝会議賞のすすめ

国内最大の公募広告賞「宣伝会議賞」を通じて、キャッチコピーの魅力を少しでも多くの人に伝えたいと願う素人メタボ親父のブログ。 目標はグランプリと100万円!!そして『日本一コピーのうまい葬儀屋』を目指します。

2015年03月

グランプリ決定から早一週間。いつものようにツイッター検索してみても、グランプリのコピーや受賞者さんのブログがちらほら話題にあがるくらい。自分の中でもあれほど盛り上がってたのがウソのようにすっかり抜け殻状態で、終わった感がハンパない。他のコンペにチャレンジしようなんて気力もテンションもない。わかりやすくいうといわゆる「賢者タイム」ってやつね。


でももうすでに3月後半。あと5か月ちょっとでまたすぐ次がやってくるわけで。受賞作との圧倒的な差を見せつけられて、この短期間でいったい何ができるのか?講座に通う時間も余裕もなく、指導や添削してくれる人がいるわけでもなく、すぐ近くに語り合える仲間がいるわけでもない。


しかも今回はグランプリ・コピーゴールド・CMゴールド・眞木準賞などの重賞を本職がコピーライターでない方々が受賞されていて、今まで姑息にも予防線として使ってきた「自分は素人だから」という言い訳は完全に使い物にならなくなってしまった・・・。正直どうしたらコピーが上達するのか見当もつかないし、何をどうすればいいかわからない。受賞作を見て「こうすればいいんだ」とか「これでいいんだ」と思っても、それはその時一瞬だけ何となくわかったつもりになってるだけに過ぎない。


この6~7年、毎回同じことで悩んで凹んでのくり返し。で、結局行き着く先は「とにかくやるしかない」って当たり前の結論。宣伝会議賞は終わっても敗者にとっての本番はむしろこれから。自分にできることを地道にやるしかない。


そんなわけでひとり供養祭を再開します。今更ボツ作品なんて何の需要もないだろうけど、自分でできることのひとつとして、んで自分に鞭打つためにも公開処刑をしていきます。で、再開一発目は応募作全882本の中で圧倒的ベスト、間違いなくファイナリストだと信じて疑わなかったコピーがあるこの課題。




ひとり供養祭 【課題 36】ヤマハミュージックジャパン・・・応募数40本


1.あなたの音をきかせてください。

2.しょうがないなぁ、そんなに聞きたいならちょっとだけ。

3.誰もがみんな、自分だけの音を持っている。

4.ようこそ、音楽のまん中へ。


5.はじめて弾けた曲は、一生忘れない。


6.「音楽」って言葉を作った人はきっと、今のぼくと同じ気持ちだったんだろうなぁ。


7.楽器をもってナンパすると、成功率があがるらしい。


8.弾いてみたい楽器がない人なんて、きっといない。


9.わたしの心を動かした曲で、誰かの心を動かしたい。


10.運命と出会って、運命がかわった。


11.弾きたい曲がある。聴かせたい人がいる。


12.今日から和夫じゃなくてKAZUって呼んでくれ。


13.バンド名だけはずっと前から決めてある。


14.ヘタクソな演奏だったのに、母は本気で拍手をしてくれた。


15.ぼくの音で誰かが歌う。わたしの音で誰かが笑う。


16.僕はいま、音楽のまん中にいる。


17.ドとレとミとファとソとラとシの音が出ない、けど楽しい。


18.トライアングル以外は、無理だと思ってた。


19.わたしが弾く曲は、わたしに似ている。


20.わたしの武器は、楽器です。


21.あなたの音は、あなただけのもの。


22.大嫌いだった曲が大好きになった。


23.ベートーベンがすごいのは、運命と髪型だけかと思ってた。


24.叶えたい夢に、武道館ライブが加わった。


25.まだ2回しか通ってないのに、みんなに自慢した。


26.こんな風に弾けるなんて、自分が一番驚いた。


27.今ならジャイアンの気持ちがよくわかる。


28.みんなに自慢したくて、かくし芸大会を企画した。


29.いつかおばあちゃんの大正琴とセッションしたい。


30.正直言うと、文化祭に出てるバンドがうらやましかった。


31.聞きたい曲より、弾きたい曲が増えた。


32.ついでにサインの練習もしとこっかな。


33.レッスン帰りに、路上ライブに飛び入り参加した


34.どんな場所でも、楽器を持てばステージになる。


35.ギター侍も流行ったし、今度はバイオリン忍者とかどうだろう。


36.才能なんかなくたって、音楽はたのしい。



37.★★★聞くだけで泣ける曲、弾けたらどうなっちゃうんだろう。★★★






38.母の日に、母の好きな曲を贈った。

39.モテる保証はできませんが、楽しさは保証します。


40.え~!?禁じられた遊び、知らないの?




「えっ!?そんなコピーどこにあるの?」って、いやいやいやいや目の前にあるじゃないですか、ひときわ輝きを放っているコピーが。他のもまあそんなに悪くないけど、ひと目見ただけで飛び込んでくるような圧倒的存在感のやつ。えっ?わからない?もしかして文字化けしてます?エロサイトの見すぎでウィルスにでも感染したんじゃないですか?ちゃんと対策した方がいいですよ。無料のavastもいいですけどやっぱり少しお金を出してでも・・・






ごめんなさい、もういいです。








所詮1次止まりだし、その1次通過すらもこのコピーじゃない気がするし・・・。



でもね、冗談でも何でもなくホントの本気でいいコピーだと思ってたんですよ。聞いたら泣いちゃう曲って絶対誰にでもあるでしょ?で、それをもし自分で演奏できたら・・・なんて思ったことありません?もっと泣いちゃうのかな?とか逆にすっごい笑顔になるのかな?とか。共感もあるし、楽器を弾けるようになった未来の自分を想像させるワクワク感もあるし、自分で言うのもあれなんですがなんていうかコピーの雰囲気とかテイストがメチャクチャ好きだし、「これはきたな」と。まぁ全部自己満足だったんですけど・・・。すべったギャグを必死で解説するのと同じくらい痛々しいですね。


シルバーや協賛企業賞をみると、もっと具体的っていうか、楽器を身近なものにしようっていう積極性が感じられて、納得感もすごくある。それに比べるとやっぱり抽象的というか、インパクトが足りなかったかな~。でも、正直未だに悪くないと思ってるんだよな~。誰かこんな未練タラタラな自分にはっきりとトドメをさして下さい。

第52回宣伝会議賞のグランプリ&各賞が決定しました。結果は皆さん当然ご存知だとは思うので今更言う必要もないでしょうが念のため。→http://award.sendenkaigi.com/history/52/


贈賞式の生中継をリアルタイムで見るために休みを入れていたのに、日頃の行いが悪いせいか仕事になっちゃいました。それでもやっぱり結果がが気になるので始めたばかりのツイッターでこっそり確認。さっきようやくyoutubeを見終わりました。


何て言うかもう、スゴイのひと言ですね。グランプリがスゴイのは言うまでもなく、やれ協賛企業賞でファイナリストとか、ひとりでファイナリストに複数残るとか、シルバー7人同時受賞とか、シルバーW受賞とか、挙句の果てにシルバーゴールドW受賞って・・・





ひとつくらい譲ってくれてもいいんじゃない?





いつもなら「次は全員ぶっ倒して俺が獲る!!」と負け犬らしく遠吠えするところだけど、レベルが違いすぎて吠える気力もない・・・。もう複数受賞の人も殿堂入りで卒業にしちゃえばいいじゃん。


しかも思ったとおり知ってる人がいっぱいいた。その分悔しさもいつも以上。知ってる人がこんなにたくさんいるなんて、ある意味俺がスゴいんじゃないかと思ってみたり。名前を呼ばれて画面に映るたびに「うぉぉぉぉぉ~〇〇さん!!」って叫んでたら、嫁に怒られた。


本当はひとりひとりにお祝いメールをしたいところだけど、どうせ他からもいっぱいきてるだろうし、どうせ2次会とか3次会とかで盛り上がってて既読スルーだろうし、そもそも送ったところでこの人誰だっけ?とか思われそうだし・・・。見てくれるかどうかもわかんないけど、この場を借りて本当におめでとうございます!!




うらやましすぎて死にそう・・・




みんなで朝まで盛り上がってるんだろうな~と思うと、なんだか泣けてきた。何で俺は家でこんなブログ書いてんだよ!!!ちくしょう、くやしいな~。正直今はそれ以外に書くことないよ。それでもこんな時だからアクセスだけは多いのよね・・・。


とりあえず前回書いた予想の答え合わせでもしときますか。



【グランプリ】 ×

今さらだけど、やっぱりこれかって感じ。まあ半分そうかな?なんて思ってたけど、あえてハズしてみたのよ、あ・え・て。もちろん気づきもあるし、インパクトも説得力もあるし、素晴らしいコピーなのは誰もが認めるところ。ただ順当すぎて意外性がないな~。



【コピーゴールド】 ×

これももちろん納得の受賞。だけどキレイすぎる気がするんだよな~。



【CMゴールド】 〇

これは当たった人も多いはず。3本の中で頭一つ抜けてた。受賞コメントでもらい泣きしました。


【眞木準賞】 〇

鉄板中の鉄板。ハズす方が逆に難しい。もしかしたらグランプリとのW受賞もあるかな?なんて思ってた。いや、けっして後付けじゃないですよ。


【シルバー】 ××〇〇××〇


これはどれがきてもおかしくないから、こんなもんかと。特筆すべきは何と言っても前代未聞の同時受賞。しかも7人って・・・。カブリはNGとされてきた宣伝会議賞の審査基準を覆す歴史的大事件!!まあいいコピーはたとえかぶってもいいコピーであることに変わりはないし、これはこれでありだとは思う。ただ個人的にはやっぱり自分だけの唯一無二のコピーで受賞したいかな。賞金は山分けなのかが気になるところ。




受賞作はもちろん、ファイナリスト・協賛企業賞の作品どれをとっても今の自分にはとても書けないコピーばかり。何をどうしたらこんなコピーが書けるのかわからない。偉そうにあとからあれこれ言うだけなら誰だってできるしね。


でもため息ばかりついててもしょうがない。もう次は始まってる。才能がないならないなりに、手持ちの武器で戦える方法を見つけるしかない。ひのきの棒で魔王に挑むようなもんだけど、それでもあえて言いましょう!!




次こそは全員ぶっ倒して俺が獲る!!






受賞者の皆さん、本当におめでとうございます。




【第52回宣伝会議賞】ファイナリストの21作品が発表されました。→http://award.sendenkaigi.com/finalist/


さすがに52万3392点から選び抜かれただけあって、どれもため息の出るものばかり。「ファイナリストで勝負できるコピーができた!!」と本気で思ってたあのころ自分が恥ずかしい・・・。過去記事といっしょに記憶も全消去したいくらい。


全体的な印象としては、想像以上にシンプルかつわかりやすい、けどちょっとしたヒネリがある。毎度のことだけど書けそうで書けない絶妙な切り口と表現。考えて考えて考えて考えて考えて考えぬいてるはずなのに、それをほとんど感じさせないナチュラルな作品が多い。いい意味で力が抜けてて、コピー臭さや狙ってる感がない。


毎回毎回ファイナリストを見るたびに同じことを思って「これだよこれ、次は俺もこういうの書いてやる」って誓うのに、全然次に生かされないのは学習能力がなさと、それ以上にセンスのなさが致命的なんだろうな~。それってどうやったら鍛えられるのか・・・。今後どれだけ勉強しても自分には絶対真似できないってコピーがいくつかある。


このレベルになるとみんなよく見えちゃって優劣をつけるのは難しいけど、ここはやっぱりグランプリをはじめ各賞を予想しないとね。全然当たる気はしないけど、余計なことは考えず単純に好き嫌いで判断していきます。


まずは1番当てやすそうなところから。


【眞木準賞】予想


お も て な せ な い
  ECC


でしょうねって声しか聞こえない・・・。でもまあ十中八九これでしょ。シンプルで短くてスピードも抜群。あえて入れたスペースで情けなさとションボリ感をこれでもかと醸し出してる。仮に「おもてなせない」は思いついたとしても、スペースは入れる演出までは無理。このセンスは尋常じゃない。ここは鉄板でしょ。




次は前回に比べ全体での通過数が激減したCM。その中で残るってことはかなりハイレベルってこと。


【CMゴールド】予想



「罠 編」 セコム


セコムの広告なんだから「セコムに入ってる」もしくは「入った方がいいよ」ってのをアピールするのが普通でしょ!?なのにいきなり「セコムしてません」だもん。これだけでもう掴みはOK。で、そのマイナス方向からプラス方向への持っていき方が秀逸。テーマである100万軒の安心とその実績の大きさをちゃんと訴求していて説得力も抜群。いい意味での裏切りがあるし、セコムでないと成り立たないところが最大のポイント。他の2作品に比べて、変にこなれてない素直な感じが好き。




コピー部門の頂点は・・・



【コピーゴールド】予想


最近のやつらは、おいしいと言うのが、早すぎる。 霧島酒造


シブい、シブすぎる。そしてわかるわ~この感じ。たしかに言われてみればそんな気がする。もっとじっくり味わえよと言いたくなる気持ちがよくわかる。若い人が見てもピンと来ないかもしれない。これ書いたの絶対オッサンだよね?というかオッサンであってほしい。審査員にもウケそう。





そして俺が獲るはずだった52万本の頂点は・・・





【グランプリ】予想



いやいや、ここは、来月のわたしが。 
クレディセゾン



「コピーを書こう」と思ったら、このコピーは絶対出てこない。少なくとも自分には逆立ちしてもムリ。なにこのセンス。ありえない。クレジットカードへの抵抗感をまったく感じさせないユーモアがスゴイ!!あえていうなら、博多華丸で再生されちゃうので、若い世代に向けてって感じがちょっぴり足りないかな。自分だけか。それでも初見から圧倒的にダントツ1位。



シルバーは7本まとめて。



【シルバー】予想


あなたのかわりに注釈を読みまくっています。 保険クリニック


「命がけ」という言葉を、この業界からなくしたい。 エスアールジータカミヤ


男性が好きな女性の香り。86年連続1位。 牛乳石鹸


あれ以来、「泥棒に入られた家」と近所で呼ばれてる。 セコム


「魂」編 セメダイン


つくると大事にしたくなる。 パナソニック


「営業の田中」より「サックスの田中」のほうが、自分らしい気がする。 ヤマハ




正直、眞木準賞以外はまったく当たる気がしない・・・。見返すたびに「やっぱりこっちがいいよな」ってコロコロ意見が変わる。特にシルバーはどれが入ってもおかしくない。その中でグランプリとCMゴールドは初見から圧倒的不動の1位。どっちかは的中して欲しいなぁ~。


前回の贈賞式でもファイナリストの間で「〇〇さんのブログで予想されてたよね。」って話題になってたから、この予想も見てくれてる人がいるといいな。コピーを見る目のなさには自信があるので、選ばれなかった人の方がチャンスあるかも!?


贈賞式の当日はガッツリ休みを入れたので、モニター前で絶叫しながら受賞者の方々の雄姿を拝見させていただきます。


もしよければ皆さんの予想も教えてください。

引き続き協賛企業賞受賞作で気になった作品についての感想です。ただし別の意味で・・・。


受賞作を見た瞬間に「これ、前にも見たことないか?」と感じたものありました。おそらく同じことを思った方もたくさんいらしただろうと思います。



【キッコーマン】

「しょうゆ取って」の距離に、いてくれませんか。


【第47回 キッコーマン 最終ノミネート】

ずっと、「お醤油とって」の距離でいてください。



【パナソニック】

太陽で冷やしたビールが旨い。


【第51回 ソーラーフロンティア 1次通過】

太陽で冷やしたアイスがうまい。

 

これはありなのでしょうか?


宣伝会議賞では以前からたびたび過去作品と酷似したコピーが受賞したり予選通過をして、その度に「パクリ疑惑」が起こります。前回もファイナリストの作品の中にパクリを疑われるようなものがありました。



そして今回は上記の2作品。どっからどうみても似ている、というかほぼ同じとしか言いようがありません。これは完全にアウトだと思います。





ただし応募者ではなく主催者側が!!





応募総数52万3392点。ただでさえこれだけの応募数があり、過去に何度も出題された課題や同系統の課題もたくさんある。そうなってくると故意ではなくても似たコピーが出てくるのは必然。


でも研究熱心な方や自分のようなマニアを除き、過去のSKATをすべて持っている人はごく少数でしょうし、仮に持っていてもそこに掲載されたすべての作品を把握するのは不可能に近い。当然作ったコピーは同一作品がないかチェックはするし、どこかですでに使われていないかググってみたりします。しかし個人レベルではそれも限度がある。


以前にもブログに書きましたが、自分も前回の1次通過のコピーが過去の別課題の通過作品とまったく同じでした。もちろん意図したわけではなく、チェックもできる限りしたつもりです。気づいたのは結果がすべて出たあとでした。チェックが不十分だった自分が悪いのですが「なんで同じのを通過させるんだよ」というのが最初の感想でした。


 確信犯的にパクる人はいないと信じたいですが、結果としてそう思われてしまうのは受賞者にとっても、元のコピーを応募した人にとってもマイナスでしかない。そして自分を含め、誰もが同じ立場になる可能性もある。

 

これはやはり主催者の審査方法に問題があると思います。審査がどのような過程で行われているか詳しいことはわかりませんが、協賛企業賞は審査員が選んだ
1次通過作品から企業側が選ぶと言われています。毎年メンバーや担当課題が変わる審査員はもちろん、企業側の人は同系統の課題で以前どんなコピーが選ばれたか知るはずかありません。


だとしたら事務局側が
1次審査を終えた段階、もしくは受賞作が決定した段階で過去作品との丸かぶりや酷似した作品はないかを精査すべきだと思います。もし同じようなものがあったのなら当然再選考。仮に発表後にそれが発覚したならば、たとえそれが故意でなくても受賞を取り消す必要があると考えます。宣伝会議賞ではありませんが、第60回朝日広告賞では類似作品があったという理由で準朝日広告賞受賞が取り消しにされました。→http://asahiad2012.blog.fc2.com/


古今東西すべてのコピーと照らし合わせろとは言いませんが、少なくともSKATに掲載されている作品については当然チェックすべきだと。それが受賞作ともなればなおさらです。締め切りから発表までこれだけの期間を設けているなら決して不可能ではないはずです。

 

いたずらに応募総数を誇示するよりもっと厳正な審査を優先すべきです。そうでないと「
52年の歴史を持つ国内最大の公募広告賞」の名が泣きます。そしてもっと泣きを見るのはあらぬ汚名を着せられた応募者と、コピーライターを夢見て真剣に必死でコピーを考えている応募者です。プロアマ問わず誰もがコピーだけで応募できる賞だからこそ、もっと言葉を大切にして欲しい!!


パナソニックの受賞作については、すでに受賞者と事務局、過去のコピーを作った方のと間で話し合いが行われたようです。受賞者ご本人のブログにそのことについての記事が掲載されています。http://giachi99.hatenablog.jp/ せっかく受賞をしたのにこのような形になってしまった方のお気持ちを考えると悲劇としか言いようがありません・・・。



応募者には一切落ち度はありません。


今後二度とこのようなことが起こらないよう、事務局には審査のシステムの改善を強く要望します。


ただの素人が当事者でもないのに偉そうなことをいって申し訳ありません。ただコピーと宣伝会議賞が大好きな者としてどうしても伝えたかったので・・・。

第52回宣伝会議賞の協賛企業賞受賞作が公式サイトでも発表されました。


受賞者には昨年の贈賞式や飲み会でお会いしたことのある方、SNSやブログなどで一方的に知ってる方などがいらっしゃいます。とてもうれしくもあり、それ以上に悔しくもあり、ちょっぴり複雑・・・。


そして受賞作はどれも自分には書けなかったものばかり。中には「これありなの?」と物議を呼びそうなコピーもありますが・・・。そのあたりも含めて特に気になった作品の感想などを書いてみたいと思います。


なお、あくまでもただのコピー好きな素人の意見ですので、独断と偏見とみにくい負け惜しみが多分に含まれていることをあらかじめご了承ください。知り合い補正とかも一切なしで。



【アソビズム】

僕は弱いけれど、僕たちは強い 小泉 峻介さん


素直に「うまいなぁ~」と思いました。ドラゴンポーカーじゃなくて大作RPGのコピーにしてもいいくらい(失礼)。前半と後半の対句を最小限の文字で成立させてる。でも単にテクニック頼みではなく、誰もが感じている自分の弱さ、仲間の心強さや絆の大切さで共感を呼び、説得力もある。どうやら静岡の方みたい。このままでは自称静岡NO.1の座があやうい。


【アットホーム】

物件数かと思った。 倉橋 拓也さん


まさにそのものズバリのド直球!!なぜこれを自分で出せなかったのか!!とやられた感でいっぱい。加盟店数をアピールするっていうちょっと変わったテーマに戸惑った人も多いはず。それにこれ以上ない短さで正解を出してる。アットホームは前回も「続きは店で」とシンプルで短いコピーを選んでいるので、次回もし出題されたらそのあたりをもっと意識しよう。


【ECC】

「かじりましょう。」篇 関根 祥量さん


一瞬「それは、鹿のエサですよ。英語で教えてあげたかった。」ってコピーを連想させて「ん?」と思った。でも登場人物の立ち位置がちょっと違う。そして最大のポイントは課題にあった「ECCをかじってほしい。」にちゃんと落とし込んでいること。ECCは以前にも「カイワで、ヘイワを。」など課題広告にあるフレーズを上手に取り込んだコピーを選んでる。豪快な外国人と断りきれない日本人の対比もコミカルでイメージしやすい。


【小田急不動産】

住まいのプロはたくさんいますが、小田急沿線のプロは私たちだけです。
入江 亮介さん


これもそのままド直球。「小田急沿線の住まいなら、小田急不動産」って課題にどうしたもんかと散々悩んだけど、どうしても差別化ができなかった。なら小田急沿線って入れちゃえばいいじゃん!!って目からウロコ。小田急沿線ならどこにも負けないって特別感もしっかり伝わる。


【キヤノン】

彼女がカメラ女子なので、僕はプリント男子になった。
松田 彩子さん


最大のポイントは「プリント男子」。このフレーズは出てこないわ~。こういう新しい言葉を生みだせるってのは素直にスゴイと思う。ナチュラルとうふで「豆腐女子」とか出しちゃった自分が恥ずかしい。女の子に合わせるちょっと弱気な男の子ってシチュエーションが今の時代にマッチしてて、どことなく乃木坂の歌詞っぽいイメージがする。いや、乃木坂の曲よく知らないんだけど・・・。


【クラシエフーズ】

てまひまかけた、そのまんま。 滝本 時生さん


何と言っても語感とリズムの良さが抜群。スッと読めてスッと入ってくる。そのうえで、できる限り丁寧にできる限り自然に近い商品を作っているということをわかりやすく表現してる。漢字を使わずに全部ひらがななのも、栗のコロっとした感じとやさしさを出すための計算・・・のはず。このままポスターとかに入っててもいい感じ。


【セゾンカード】

英世とセゾンと、時々諭吉。 大久保 雅英さん


センスあるわ~。こんなん絶対出てこない。出てきてもせいぜい、「俺とおまえと大五郎」が関の山(失礼)。特に時々諭吉がリアルですごく好き。「おまえまた英世かよ。オレ、今日セゾンだぜ。」みたいな会話が聞こえてきそう。若い世代に向けてというテーマにピッタリ。


【相模屋食料】

おっさんの意見、完全無視。 小松 涼平さん


こうきたかって感じ。自分をはじめ多くの人が女の子向けってことを意識して、オシャレなフレーズや女の子の気持ちを表現しようとしたはず。その中でこのコピーは相当目立つ。で、ちゃんと女の子のためだけに作ったってことも伝わる。もともとザク豆腐を作ったりしてユーモアがある会社なので、一見意外なようで納得のチョイス。インド人完全無視カレーを思いだした。


【セメダイン】

ビールと同じくらい、「とりあえず」が似合う。 小林 沙紀さん


課題であるセメダインの超多用途性を「とりあえず」のひとことに集約したのがスゴイ。こういう商品を表に出さずに商品の特性を表現するってのは、相当難しいと思う。「とりあえずセメダイン」とかもきっとあっただろうけど、「ビールと同じくらい」っていうフレーズが万能感を強調していて、あるとないとじゃ雲泥の差がある。


【大建工業】 

畳は、もう一度リビングになれる。 味村 伊澄さん


今回の協賛企業賞の中でも1・2を争うコピーだと思う。畳なんだけど微妙に畳じゃない商品に畳以上の付加価値があることをどうすれば訴求できるのか?課題自体がとっても難しかったし、誰もが苦戦したはず。フローリング全盛で畳の良さを知らいない子供が増えてる中(我が家にも畳の部屋がない)、ライフスタイルまで変えてしまえるような力がある。ターゲットへのアピールはもちろん、クライアントの心意気まで汲んだ素晴らしいコピー。一番喜んだのは大建工業の方だと思う。こういうコピーを作ってもらえると、企業も協賛した甲斐があるはず。


【トゥ・ディファクト】

持ち運びたい本もあれば、飾りたい本もあれば、こっそり買いたい本もある。
江島 ゆう子さん


「言いたかったことはこういうこと」ってのをそのまま素直に表現した感じ。本屋さんという身近な課題の割にとても難しくて、どうやって一言でうまく言うか?ばかりを考えてた。コピーは短いほどいいとされてるけど、無理にワンフレーズに収めるより、長くてもわかりやすくて伝わる方がいいに決まってる。50本出せるならいろんなパターンを試すべきだと改めて実感させられた。プロっぽくない雰囲気が逆に新鮮。こっそり買いたい本、確かにあるあるって共感もできる。


【マスメディアン】

なんの実績がなくても広告業界に入れるのは、学生くらいなんです。
 野田 貴之さん


「そういえばそうだよね」って気づきと納得感がハンパない。圧倒的説得力でターゲットの学生にピンポイントで刺さる。「なんの実績がなくても」のフレーズで間口を広げて、「~くらいです。」ではなく「~くらいなんです。」って部分で今しかないってことをより一層強調してる。この「なん」にセンスを感じる。学生はズルいって個人的感情もかなり入ってそう。さすが歴戦の強者。2年連続受賞は伊達じゃない。野田さんが以前応募したC1000ビタミンレモンのコピー「レモンはレモン過ぎる。」もその説得力で忘れられない大好きなコピーのひとつ。


【ゆうちょ銀行】

『備男備女』になろう 水谷 健さん


「貯金することがカッコいいと思わせる」という漠然とした難しい課題を、いかにうまくこなせるかでセンスが問われると思う。それを漢字をちょっと変えただけで見事に表現してる。元の言葉の美男美女のプラスイメージをそのままうまく利用してる。松坂桃李と佐々木のぞみあたりが、通帳を持って並んでるポスターが目に浮かぶ。



まだまだいいコピーがたくさんあるけど、語り出したらキリがないのでとりあえずこの辺で。ファイナリストはさらにこれ以上のコピーがあると思うと、今から楽しみでしょうがない。


で、別の意味で気になるコピーがいくつかある。これまた長くなりそうなのでその辺りはまたあとにしときます。

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