宣伝会議賞のすすめ

国内最大の公募広告賞「宣伝会議賞」を通じて、キャッチコピーの魅力を少しでも多くの人に伝えたいと願う素人メタボ親父のブログ。 目標はグランプリと100万円!!そして『日本一コピーのうまい葬儀屋』を目指します。

2016年03月

第53回宣伝会議賞のグランプリ決定の盛り上がりも今や昔・・・。

グランプリがCM案でつぶやきにくい?こともあってか、例年より話題に上る回数が少ない気がする。派手さはないけどとってもいい作品なので是非実際のCMとして採用してほしい。

気分はすっかり祭りのあと。『次回に向けて頑張ります!!』的なテンションにはほど遠い。よせばいいのに受賞者さんの報告ブログを検索しては、センスはもちろんその努力の差を見せつけられて凹む一方。とりあえずSKATの予約だけはしたものの、さらに多くの猛者たちとのレベルの違いに打ちのめされることは間違いない。

いつもなら『こんな時は飲み会だ!!』と、反省会だの祝勝会だのを企画してその準備に追われることで気をまぎらわしてるのに、それすらやる気がおこらない。それでも何かをしないと半年後にはまた次がやってくるわけで、今のままなら間違いなく今より悪い結果しか出ないわけで・・・。


どうすればコピーが上手くなるのか?


①いいコピーを見る 

②とにかく書く 

③誰かに見てもらう 


コピー講座に通いでもしない限り、思い浮かぶのはこのくらい。①はコピー年鑑を買うか(高くて買えないけど)、ネットがあれば何とかなる。問題は②と③。とにかく書くっていっても課題もなしに書けないし、誰かに見てもらうってのも、ちゃんと見る目がある人でないと意味がないだろうし。そうなるとやっぱりコンペに応募して結果を出すことでしか実力を測れない。

ラジオCMのコンペと比べ、コピーコンペとなると限られてくる。ちゃんと調べれば地方自治体絡みで結構やってたりするけど、標語やスローガン的なものが多くて誰が審査したかもよくわからない。結果を見てもピンとこない場合が多いし賞金もないからよっぽど気が向かないと応募しない。『そんな選り好みしてるからダメなんだよ』と言われればそれまでだけど・・・。

結果、行きつくところはC-1グランプリってことになるんだけど、これがねぇ~。テーマが難しいうえにレベルも相当高い。しかも課題は原則ブレーンを買わないとわからない。近所の本屋には置いてないので立ち読みもできない。たま~に締め切り間際にネットで知ったときだけ応募してる程度。当然、箸にも棒にも掛かからない。前からちゃんと定期購読を申し込んでじっくり挑戦したいと思ってはいるんだけど、1年分の一括支払いが地味に痛くて踏ん切りがつかない。

最近応募したのは、公募ガイドで始まった渡辺潤平さんのコピトレ。すでに第1回の『卒業式』のコピーは結果が発表された。もちろん惨敗。受賞者として名前が上がっているのは、例によって見かけたことがある方々ばかり。できる人ってのはとにかく打率が高い。どんな課題でもコンスタントに結果が出せる。何とか一矢報いたくて挑戦してるけどろくなコピーができず、ますます心が折れていくばかり・・・。茨城県や那須塩原のキャッチコピーも出したけどダメ。

ゲームみたいに「次のレベルまであと何ポイント」と親切に教えてくれるわけでもなく、レベルアップしてもファンファーレなんて鳴らないから上達してるのかどうかも自分じゃわからない。そのくせ厄介なことに、たま~にまぐれ当たりで会心の一撃が出たりして、それがかえって逆効果。実力もないくせいに勘違いして調子にのってしまう。シルバーやピンクリボン受賞がまさにそれ

誰かと比べてもしょうがないのはわかっているけど、足りないものがあまりにも多すぎる。唯一誰にも負けないと思っていた宣伝会議賞への情熱すらも・・・。





3月8日、今年も虎ノ門ヒルズで贈賞式が開催され、第53回宣伝会議賞のグランプリをはじめとする各賞が決定しました。


第53回宣伝会議賞 受賞作品発表


ファイナリストが発表された時点でグランプリ予想をするつもりが、またしても間に合わず・・・。後付けではありますが、例によって独断と偏見と負け惜しみを多分に含んだ感想などを。


『グランプリ』


【親子】篇 
 ジェーティービィー/今野和人さん


応募総数46万7936件の頂点は、第45回以来久々にCM作品が受賞。ノミネートを見た段階で『CMの方がレベル高いな~』と思った人も多かったはず。個人的には、これかマスメディアンかな?と思ってました。

いつものグランプリに比べるとインパクトや派手さは少し物足りないかもしれない。でも父と娘の微妙な関係を誰もがイメージしやすい日常のワンシーンで表現しながら、ちょっとした裏切りとさりげない優しさでほっこりするストーリーに仕上げてる。ツンデレな娘には審査員も弱かったみたい。家にいると邪魔者扱いされてる自分がもし娘にこんなんされたら、間違いなく泣く自信がある。

受賞者が芸人さんでしかもチャレンジブロガーなんて、芸人さんは知名度アップ、主催者側としても話題にしやすいしWin-Winよね。けど芸人さんなら受賞インタビューでもっと笑いを狙うべきだったんじゃないの?なんて大きなお世話ですかね。すごく落ち着いた真面目な印象の方だったので、どんなネタをするのか見てみたい。そういえばひっそりやってた芸人チャレンジ企画はどうなったの?なかったことにされてるのかな?


『コピーゴールド』

通勤時間が20分短くなると、
年収30%UPと同じだけ幸福度があがる。
という調査結果があります。

つまり、
あなたの年収が500万円なら
150万円もらえるようなものです。


アットホーム/水野百合江さん


インパクトでいえばグランプリより圧倒的にこっち。おそらく初見で「これってボディコピーじゃん!!」って突っ込んだ人が多数いたはず。とにかく長い。でもこれ以上削れないほど無駄がなく、説得力もハンパない。目立つための戦略としてわざと長いコピーを出すこともあるけど、完成度が段違い。

第50回のCMゴールドが、長谷川工業のルカーノで2本立てだった。最初に見た時は「2本立てなんてズルくね?」と思ったけど、どこにも禁止だなんて書いてない。誰もやらないことを最初にやるってのは発想力はもちろん勇気だっている。今回も『コピー=短くシンプルに』って散々刷り込まれた先入観を見事にぶち破ってチャレンジした結果の受賞。参りました。ただ同じ手は二度と通用しそうにないよね。


『CMゴールド』

【季節を味わう】篇  キッコーマン/芳野周司さん


決め手は「季節は和食にある」って最後のフレーズだと思う。他のキッコーマンの作品はしょうゆメインだけど、これは季節ごとに素材の旬を見極め最大限に活かす和食の魅力が表現されていて課題にちゃんと応えてる。

コンペの性質上、クライアントの意向を反映するのが企業賞、審査員が選ぶ上位賞はその枠からある程度はみ出ても面白ければあり・・・みたいな風潮があるけど、やっぱり課題をちゃんと踏まえたうえで優秀な作品が評価されるべきで、その意味でもふさわしい。「長い間意識不明だった人にいきなり鍋でも食わせたのかよ!?」なんてツッコミは野暮よね。

受賞された方は元チャレンジブロガーで直接面識はないけど今でもブログはちょくちょく覗いてる。受賞インタビューで今にも泣き出しそうだったのが印象的。思わずガンバレ!!と心の中で叫んでた。「いつか贈賞式で会えたらいいな~」と思っていた方のひとりなので、卒業されてしまうのはちょっと残念。


『眞木準賞』

きのう、きょう、アース
  アース製薬/市川雅一さん


シンプル イズ スベスベストとの一騎打ち。どうしても谷村新司が邪魔をするので、個人的には牛乳石鹸を推してたんだけど、最終的には「やっぱりこれか~」って感じ。牛乳石鹸は他の商品でも言えなくはないけど、これはアース製薬でしか使えない。そして過去から未来まで連想できるスケール感。その辺で差がついたんじゃないかと。誰にでも書けそうで書けないという点では、どちらも甲乙つけがたいし、その着眼点とセンスは本当にうらやましいとしかいいようがない。


『シルバー』


模型にも、本物にも。  セメダイン/阿部眞史さん


CMは「おーい」 DMは「あのね」  

ディーエムソリューションズ/林 次郎さん


特に好きなのはこの2作品。どちらもコピーのスタイルとしては王道だけど、クライアントの意向がちゃんと反映されていて、短い中に商品の特徴やメリットが凝縮されてる。しかも誰が見てもとってもわかりやすく、伝わるスピードも速い。短いコピーが苦手な自分にとっては、ザ・お手本って感じの作品。


マスメディアンはとても好きだったから選外だったのは予想外。ジャルジャルレインフォレストアライアンスのCM案も、難しい課題をシニカルなオチで上手に締めていて好きだったんだけどなぁ。まあこのレベルまでくると、あとは好みの問題でしかないんだろうけど。それしても予想って難しい・・・。


贈賞式を見てると、舞踏会に行けなかったシンデレラみたいな気分になる。それでも何度も見ちゃうんだけど。助けてくれる魔女もいないしカボチャも馬車もないわけ・・・。コピーを書く力はもちろん、ある程度の運も兼ね備えないといけない舞台。来年こそは必ずたどり着いてやる!!と言いたいところだけど、現状でははるかかなたどころか別次元の世界にしか思えない。さてどうしたものか。

とにかく受賞した皆さん、本当におめでとうございます。うらやましすぎて吐きそうです。こんなにすごい作品と圧倒的な差を見せつけられると、とてもじゃないけどこの先応募作を晒せる気がしない・・・。あとグランプリを手書きしなきゃならないSKATは買う気がしない・・・いやもちろん買うけれども。


今回も不甲斐ない結果におわりましたが、いつまでも嘆いていても仕方がない。あと半年もすればまたすぐ次がやってきます。この短期間に何をどうすればコピーが上手くなるのか?なんてわからないけど、やれることをやるしかないわけで・・・。「反省だけならサルでもできる。」っていう名コピー?のとおり、ただ反省するだけじゃなくプラスαがないとね。

とりあえず気になったコピーについての感想でも。例によって
独断と偏見と負け惜しみが多分に含まれた超個人的見解ですのでご了承ください。受賞者の中にはFBやツイッターでお世話になってる方もチラホラいらっしゃいますが、知り合い補正はなしで。


第53回協賛企業賞の受賞作はこちら 
(イチイチ課題をクリックしないと見れないのは面倒だよね)



きのう、きょう、アース。 
(アース製薬/市川雅一さん)


一発目からもの凄いインパクト。一番最初に載ってるってこともあるだろうけど、受賞作を全部見た
あとで覚えてるのコピーは?って聞かれたら多くの人がこれを選ぶと思う。
この課題には挑戦しなかったけど自分じゃまず出てこない。協賛企業のコメントにあるように、シンプルだけど歴史や未来を感じさせる・・・気がする。ファイナリストに残ってるのもわからなくはない。

ただおそらく100人中99人は谷村信司の歌と声で再生されて、JR西日本ってナレーションがついちゃうはず。もし実際に広告として採用されたらパクリ疑惑でプチ炎上しちゃいそう。そういう意図はまったくなくても、どうしてもパロディって思われそうなのがちょっとマイナスかな。



家は、倒れてはいけない。 (エヌ・シー・エヌ/斎藤貴美子さん)


強い!!ただひたすら強い!!そして有無を言わせない説得力がある。コピーから出るその力強さがそのまま地震に強い耐震の家に直結してる。超がつくほどド真ん中のド直球。誰がどう考えても当たり前のことだけど、それを改めて文字することでこんなに凄いコピーになるなんて。個人的にはファイナリストにはこっちを残すべきだと思う。



切れ味の目印は、貝印。
 
(貝印/味村真一さん)


一見「そのまんまじゃん、これでいいの?」って思わせる。けど一切の無駄がなくて、クライアントの要望に100%応えたこれぞザ・協賛企業賞ってコピー。創業当初から企業コピーとして使われてても違和感がまったくないもの。けっして派手さはないけど質実剛健。でもちゃんと『目』印と『貝』印のビジュアル的類似性も計算に入れてる、まさに職人技って感じですごい切れ味。



リユースは、幸せになる人が2人いる。
 
(コメ兵/鮎川 幹さん)


リユースという言葉は耳にしたことはあるけどいまいちピンとこない人に、大きな視点からその概念を定義してわかりやすく伝えてる。人と人とのつながりを感じさせるし、中古品のなんとなくネガティブなイメージを、ポジティブに捉えているのがいい。やっぱりコピーはできるだけハッピーじゃないとね。厳密には2人じゃないかもだけど、あえて言い切ってるところも強い。



この世は、気が散るようにできている。
 
(サントリー/玉木洲太さん)


ついつい身近な小さいあるあるばかりを考えてたけど、マクロな視点からの誰もが共感できる大きなあるあるコピー。うまいなぁ。そのままポスターやCMに使われそう。同じサントリーのボスのCMに近い気がする。トミー・リー・ジョーンズがこのフレーズを言ってても違和感なさそう。



『がんばれ、息子。がんばれ、私』篇
 
(東京都交通局/千葉龍裕さん)


好きだわ~。子供がいる身としてはとっても染みるしちょっと泣ける。子供が成長していく喜びと、その反面にあるさみしさ。いろんな場面で感じることができるけど、それをバスに揺られてる時間に重ねることでぬくもりを感じさせて企業イメージをアップさせてる。久しぶりに子供と手を繋いでバスに乗りたくなった。



タカラジェンヌと、同じ父を持つマンション。
 
(阪急不動産/桂 亜沙美さん)


確かに課題広告には小林一三さんとやらがデカデカと載ってるけど、そこから宝塚やタカラジェンヌに繋げる発想がすごい。宝塚の知名度やブランドイメージなら首都圏でも通用するし、ただの高級マンションよりも差別化できそうな気がする。俺は全然ピンこないけど・・・。



時代を変えてきたのはいつも、組織に縛られない人たちだ。
 
(VSN/味村真一さん)


熱い!!今にもプロジェクトXのテーマが流れてきそうなくらい熱い!!かなり難しい課題に真っ向から応えて『技術派遣業』の社会的地位をたった一行で向上させてる。エンジニアとして様々な現場で働く人へのリスペクトが感じられるし、エールにもなってる。今回の協l賛企業賞の中でも、1位2位を争うコピーだと思う。こんなん一生書けないよ・・・。



人生で一番最初に開いた口座は、最後まで使える口座でした。
 
(ゆうちょ銀行/山内昌憲さん)


お客さんにこんな風に言われたゆうちょの人もメチャクチャうれしいだろうなぁ~。企業目標にもなるコピー。身近に寄り添ってるイメージが課題の「ゆうちょ銀行の魅力」にぴったり重なる。『人生で』ってフレーズがすごく効いてて、これがあることで一生モノのサービスができますよってのを強調してる。


他にも好きなのあるけど、主なのはこんな感じ。逆に『???』ってコピーもいくつか。カカクコムは本当に箸で背中をかくオッサンをイメージしちゃうし、牛乳石鹸は「結局牛乳石鹸じゃなくてもいいじゃん!!」って突っ込みたくなるってか、突っ込んだよね実際。最後まで迷ったっていうもう1本がメチャクチャ気になる。キッコーマン三和ホールディングスは何となくわかるようなわかんないような・・・。そういわれればそうかもしれないけどこれで伝わる?ただこの辺はコピーというよりクライアントのチョイスが疑問なんだけどね。

と、なんだかんだ言っても自分にはどうやっても書けないコピーばかり。飾らずシンプルに、それでいてズバッと課題に応える。毎年受賞作を見るたびにわかったつもりになるけど、いざ始まるとすぐにカッコつけの雰囲気コピーを書いて自己満足しちゃう。何回同じことをくり返したらコピーが上手くなるんだろう・・・。刺激をもらうより、圧倒的な差を見せつけられた感じ。立ち直るのは時間がかかりそうだわ。

次は3月8日の贈賞式までに、グランプリの予想でもしますかね。



惨敗です・・・




本日発売の『宣伝会議4月号』にて、2次・3次通過者と協賛企業賞の発表がありました。

結果は2次通過2本のみ。1次通過数は前回と変わらないのに、2次通過本数は半減。ここ数回、進歩するどころか結果は下降の一途。

しかも残ったクマリフトセメダインは、応募コピーがまったく思い出せないようなノーマーク課題。これがせめて本命コピーだったらまだ多少の救いはあったんだけどな・・・。

1番問題なのは、この結果にあまりショックを受けていないこと。もちろん悔しいことは悔しいんだけどいつもほどではないというか、まあこんなもんだよねって納得しちゃってる。今までは悔しいが100%だったのに、50%はあきらめになってる感じ。これってかなりよくない傾向・・・。

で、協賛企業賞。もちろん好きなコピーはいくつかあるし、クライアントのコメントを読めばなるほどねと納得できるコピーもある。でも本屋でページを開いた瞬間に鳥肌が立つほど「やられた」ってショックを受けるコピーはなかった。

同時に公式サイトで発表されたファイナリスト作品。こっちも自分にはとても思いつかないものばかりだけど、正直痺れるようなインパクトは感じなかった。というかそれは今回に限らず、初挑戦したころから比べると年々少なくなってる気がする。

「昔はよかった」ってオッサン特有の思い出補正か、それとも多少なりとも実力がついてコピーを見る目が厳しくなったのか、ただのうぬぼれか。いずれにせよ結果が出せてない以上、何をいっても負け惜しみにしかならないよなぁ。死ぬほどカッコ悪い・・・。

とにかく、協賛企業賞&ファイナリストの皆さん、おめでとうございます。これからひとつひとつ吟味して、自分に何が足りないのかじっくり勉強させていただきます。

それにしても、グランプリ掲載のないSKATって・・・。いつか一番最初に一番デッカイ字で自分のコピーを載せてやる!!ってのが夢だったのに、もう叶えられないのかなぁ。






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