宣伝会議賞の審査結果発表から一夜明け、SNS上では受賞報告やグランプリ予想で盛り上がってますね。

おめでとうコメントが殺到しみるみるにいいねが爆増してるのを、歯ぎしりしながらしながら眺めてます。「受賞おめでとうございます」とか「とてもいいコピーですね」なんてリプして大人の余裕を見せつつ、「全然悔しくなんかないし、そんなにうらやましくないもん」とノーダメージをアピールしてますが、内心はうらやましくて仕方がありません。ちくしょう!!いいなぁ~。



今死んだら死因はうらやま死です。(だからそういうとこだぞ)



でも毎年グランプリが決定するまでのこの時間が1年通していちばん楽しい。自分で分析したり予想したりするのはもちろん、いろんな人の感想や予想を見るのもめちゃくちゃ勉強になる。もう一瞬たりともスマホを手放すことができません。

ツイッターもFBも公募関係の人としかつながってなくて、リアルでは友達のいないぼっち。なので、宣伝会議賞についてつぶやいてる人を見かけたら秒でいいねするし、刹那でフォローしてます。「なにこいつキモッ!!」とか思われるかもですが暖かく迎えてくれるとうれしです。無理ならそっとブロックしてください。


さて、しょーもない前置きはこのくらいにして、まずは協賛企業賞の受賞作の中で特に気になったコピーをピックアップして独断と偏見で感想を。

もちろん35作品全部いいのは大前提です。実際今年は全体的にレベル高い。一次通過9本の分際で「協賛企業賞ならワンチャンあるかな?」と一瞬でも思ってドキドキしながら連絡待ちしていた自分を殺してやりたい・・・



【キッコーマン】 夷藤 翼さん

父はコーヒーに入れている。
母は料理に入れている。
私はカバンに入れている。



豆乳ってクセがあって健康を意識してる人しか飲まない、ちょっと特別で何となく壁がある。でもこのコピーはその壁を感じさせずに、豆乳がちゃんと日常生活に溶け込んでる。ただ飲むだけでなく、コーヒーに入れたり料理に使えるってこともサラッとアピール。「カバンに入れてる」が三段落ちのような効果になっているのに、わざとらしさや嘘くささがない。ついインパクトを求めて強い言葉や表現を探しがちだけど、とてもやさしくてナチュラルでスッと入ってくる。ほんの少しクセがあるけど飲みやすい、そんな豆乳そのものようなコピー。



【キヤノン】 永末 晃規さん



卒業アルバムに、卒業式のページはない。



見た瞬間「たしかにそうだな」と大きくうなずいた。メインターゲットである若者、特に学生にとって卒業式は青春の集大成の一大イベント。そして大人もほぼみんな経験してる。だから一瞬で伝わるし納得できる。卒業式だけだと写真を撮って終わりになりそうだけど卒業アルバムにすることで、撮ってその場でプリントできるって商品の最大の特徴までちゃんとアピールできてる。「オリジナルの卒アルが作ろう」って切り口は他にもたくさんあったと思う。このコピーには短いフレーズの中に、ただ「撮ろう」じゃなくて「それなら撮って作らなきゃ」って思わせて行動させる強い説得力がある。



【京セラ】 野田 貴之さん


おそいぞ、未来。


はい、かっこいい。なにこれずるい。ふつう未来とか夢とか希望とかってありがちふんわりワードを入れるとクサいし陳腐になるはず。なのにめちゃくちゃカッコいい。企業のイメージコピーにありがちな「未来をつくる」とか「一歩先を行く」とかじゃなく、未来すら置き去りにしててそれが京セラにぴったりはまってる。野田さんとはシルバー獲ったときの授賞式以来何度かお会いしてるけど、忖度とか一切なくもうセンスの塊ですよ。これで受賞は何度目だろう。銀のエンジェルシステムを採用して、5回受賞したら卒業してくれませんかね?



【霧島酒造】 原田 智光さん


本命から、大本命が生まれた。


うまいなぁ~。まさにその通りって感じ。どうしてこれが言えなかったんだろう。お酒の課題は過去何度も出されてて意外と差別化が難しい。だからついつい「お酒を飲んでるシチュエーション」のコピーに逃げがちなんだけど、ちゃんと正面から商品と向き合ってる。黒霧島を本命と表現することで黒霧島も当たり前にうまいことを伝えて、さらに黒霧島EXも飲んでみたくなる。デリシャスペンタゴンばかりいじってた自分が恥ずかしい・・・



【グルメ杵屋】 木村 幸代さん


あの頃には戻れないけど、あの日には戻れる。


エモいって言葉はあまり好きじゃないけど、エモい。「あの頃」とか「あの日」とかすごく抽象的で漠然としてるのに、誰もがみんなイメージできちゃう。戻りたいけど戻れなくてでもちょっとだけ戻れる感が、少しの切なさとともに伝わってくる。「子供といっしょに系」のコピーをたくさん出したけど、ついでに食べようじゃなくて大人が自分から食べてみたくなる。で、食べたらまた頑張れる。TVCMとかにしても良さそうなコピー。



【サントリー】 田代 祐介さん


最近、やわらかいボスが増えました。


とにかく「やわらかい」って表現が秀逸。BOSSっていうと今までは硬派な缶コーヒーが真っ先に浮かんできた。コーヒー飲めないから知らないけど、味も濃くて苦みがあるイメージ。それに対してクラフトボスはかなり飲みやすい。ミルクティーしか飲んだことないけどグビグビ飲める。で、実際ボトルもやわらかい。はじめて手にするとびっくりする。きっと多くの人がそう思ってるはず。そして最近はちょっと注意するだけでもパワハラになりやすくて、昔ながらの頑固で高圧的な上司は受け入れられなくなってきてる。このコピーは「やわらかい」のたった一言で、商品の味の特徴・ボトルのリアルな触感・時代の流れの3つを表現してる。すごい!!



【CBcloud】 密山 直也さん


その発送はなかった。


その発想はなかった。もうイヤっていうほどコメントもらってるだろうけど、この一言に尽きる。この言葉だけで従来にない革新的な配送サービスっていうことが伝わる。そのものずばり。これ以上言うことなし。感想が短いけど、別に嫉妬してるとかだからじゃないんだからね・・・



【セメダイン】 大澤 希美恵さん


父親の靴を直したら、翌朝、嬉しそうな足音がした。


若干ファンタジーが入ってる。だけど好き。もしうちの子たちが直してくれたら、どんなに凸凹でも失敗しても、うれしくて泣くし、もっと大切に履くし、仕事行きたくなくてもスキップしながら出勤する。でも2000%してくれない・・・。やっぱりファンタジー。だけど好き。



【トクヤマデンタル】 福田 恭子さん


治療後を鏡で何度も見たくなる。


鏡に向かって口を大きく開けてる情景は鮮明に浮かんでくる。「やってよかった感」がものすごく伝わってくるから「そんなにいいなら試しにやってみようかな?」って思わせる力がある。レジン治療を知らない人には、材質がどうのとか耐久性がどうのとか説明するよりはるかにわかりやすい。NGワードを見た時点で諦めたけど、いくらでもやりようがあるんだなぁ。



【三井記念美術館】 島崎 純さん


変わりゆく日本橋がある。
変わらない日本橋もある。


すでにそのままポスターに使われていそうな、王道中の王道コピー。美術館のことを直接言ってないのに、ちゃんと美術館のコピーになってる。三井記念美術館の歴史とか伝統と風格とか威厳とか、その全部にマッチしていて、いつの時代でも通用する普遍性がある。



【ヤフー】 佐藤 幸治さん


スマホの中にね、池上彰がいるの。


これはいい意味でずるい。そしてこれを選んだヤフーはすごい。ニュースや天気予報や乗換案内とか、できることが多すぎてどこをアピールしていいか迷う課題。それを全部ひっくるめて「要するに〇〇」って例えに池上彰を持ってくるアイデアが秀逸。わかりやすい=池上彰ってイメージは親世代でなくても伝わる。中にねの「ね」と、いるのの「の」もとても効いてる。娘が親に優しく説明してる絵が浮かぶ。あるとないとじゃやわらかさが全然違ってくる。ユーモアだけじゃなくテクニックもあるコピー。



という感じで、例によって好き勝手に感想を述べさせていただきました。ホントは全部やりたいくらい。どれも納得の協賛企業賞。完敗です・・・。


あらためて、皆さん受賞おめでとうございます!!