現在どんな審査体制でどんなチェックを行っているのかはわかりません。何十万もの膨大な量の応募作を、年々増え続けていく過去作品とすべて照らし合わせるのはもちろん不可能です。ブログやツイッターなどで誰もが気軽に言葉を発信できる時代。検索すればどこかに似たようなフレーズが出てくるかもしれません。それらすべてや古今東西のコピーとの類似性をすべてチェックしろとは言いません。
でも少なくとも、協賛企業賞とファイナリスト作品に関しては既刊のSKATを確認し、過去に類似性、または盗作の疑いがあるものがないかをチェックしていただきたい。けっして簡単ではありませんが、一個人である自分でもある程度はできることです。デジタル化の進んだ現在、応募作のデータ化によるチェックは決して不可能ではないと思います。
今よりさらに審査を厳重にするためには、人手もコストも今以上にかかることはもちろん理解しています。それでもどんなにたいへんでも厳正に公平公正な審査をすることは、主催者としての義務です。審査員であるコピーライターの皆さんは、過去の応募作を把握するのは不可能だと思います。また最終的に協賛企業賞を選ぶ関係者の方々も同じでしょう。つまりそれを精査できるのは事務局だけです。
応募者全員がSKATをすべて持っているわけではありません。持っていても応募コピーすべての類似性を確認できるわけではありません。何気なく出したコピーに本当にたまたま過去に同じものが存在し、まったく意図していないのにあらぬ疑いをもたれる可能性だってあります。1度でもそんな汚名を着せられたら、その信用を回復するのは簡単ではありません。特にコピーライターを志す者にとって「パクリで受賞した」なんて噂が出れば致命傷にすらなりかねません。それを防ぐ意味でも、審査体制の改善は急務であると思います。
宣伝会議賞は昔ほどの権威もなく、受賞しても意味がないという人もいます。受賞歴を書いたところで、転職の役にもたたないという声も聞きます。でもそれ以上に宣伝会議賞受賞に闘志を燃やし、贈賞式とグランプリを目標にひたすら努力する人がたくさんたくさんいることを知っています。中高生部門もできて、素晴らしいコピーを書く若者がこの先もどんどん出てきます。AIがコピーを書くようになってもコピーライターはなくならないし、コピーライターに憧れ、それを志す人はたくさんいます。お願いします。その人たちを失望させないでください。
応募してくる人たちは、年齢も性別も職業も実力も経験も環境もみんなバラバラです。でもきっと同じ目標と想いを抱いてチャレンジしています。宣伝会議賞がそのすべての人たちに信頼され、これから先もずっと、正しく夢を見ることができる憧れの舞台であり続けることを心から願っています。
最後に・・・
好き勝手な批判を書かれることを承知の上で、今回の一連の流れを掲載することを許可していただいた宣伝会議広報室のご担当者さまに心から御礼申し上げます。